ドリプロのブログ

ラオスコーヒーを販売する学生団体ドリプロからのお便り

噛み茶、ミアン

こんにちは、みきです!

 

みなさん、突然ですが、お茶の起源をご存知ですか?

 

お茶とは、まず噛み物から生まれた飲み物なのです。

かつては植物の葉や樹皮を噛んで、神に近づくシャーマニズムとの関わりから始まりました。

そこから葉を乾燥させ、煎じて飲む方法が確立され、茶が成立しました。

 

また、噛み料の一部はお茶になり、一部はコカ・チューイングやタバコ・チューイングなどのように楽しみのために目的を変えていきました。

交易によって飲む茶が世界に広がったのとは対象的に、中国西南部、を含めた東南アジアの山間地では今もなお、食べる茶が生産されています。

 

ラオス・タイにて「ミアン」、という名称で親しまれています!

今回はそのミアンについてお話ができればと思います!!

 

ミアンとはチャの漬物のような物で、ラオスにおける工程は以下の通りです。

1, 新芽の全葉を収穫

2, 米などを蒸すかまで軽く蒸す

3, 竹筒に茶葉を入れ米の研ぎ汁を注ぐ

4, 2~3日後に水を抜きそのまま発酵させる

 

収穫したチャの葉を加熱し酸化を停止させた後、人工的に乳酸菌等の細菌や、カビや酵母の作用によって発酵させた茶生産物です。

 

そして完成したものを岩塩と一緒に食べます。

発酵させた茶葉を噛み、しみ出してくる味を楽しむため、「噛み茶」とも呼ばれています。

 

しかし、米の研ぎ汁に関しては、それを使うと茶葉の酸味が強くなりすぎる。との意見もあり、使わない家庭もあるそうです。

地域によっても工程が異なることもあり、家庭の味、郷土料理といった側面もあるのかなと感じました。

 

では、どのようなときに用いられるかというと、食後の口直しや、客人のもてなし、喫煙時や、農作業時に食されているのが一般的です。また、地域によっては宗教儀礼の供物としても利用されています。

発酵した茶葉からは酸味や渋味、また塩によるしょっぱさがするんだとか。

 

以前は発酵の際に竹筒を用いていましたが、現在はプラスチック容器を代用していることや、若年層がミアンを口にしていなくなりつつある現状があるそうです。

 

ここからはラオスのお隣、タイの話となります。

タイでも消費者が減少していますが、供え物としてはミアンの消費は今でも文化・習慣として残っているそうです。「食べる嗜好品」から「供えるためのモノ」として扱うようになっています。

 

それでもなお、消費者が減少しているミアン生産者には何か変化を及ぼしたのでしょうか?

ある生産者はミアン栽培の傍ら、紅茶やコーヒーの生産を始め、森林景観を生かしたエコツアーを開催している生産者もいるそうです。

 

さらに感心してしまったことが、生産者がこの状況をそれほど悲観していないことです。

彼らは、今後生産者が減少すると予測しており、より高い値段でミアンを売ることができると期待していることです。

ミアンを食す習慣がなくなっても、供物としてのミアンは無くならないと、後者を重要視しています。

 

現状に悲観しないこと、現状をチャンスとして捉えていること、柔軟な対応ができていること。

生産者のポジティブさには驚きました!

生産者・消費者・自然と寄り添いながら生きているんだなと感じました。

 

ミアンはラオスの北西部で生産されてます。年末に私達がスタディーツアー訪れる南部でミアンを実際に食べる機会があるかは分かりませんが、是非試してみたいです!!

 

参考文献

タイ北部における発酵食用茶『ミアン』の伝播に関する一考察 (yunnan-k.jp)ヒマラヤ学誌 2009

横山智 "世界の発酵食品をフィールドワークする" 農文協 2022 p.164~172